「最近、トラックのバッテリーが弱いみたいなので点検してほしい」というご依頼でした。
早速現地へお伺いして拝見すると、バッテリーが大変なことに・・・
ターミナルの周りに、青白い粉がびっしりついています。
パッと見、スカイブルーの綺麗な色をしていますが、これは「緑青」(ろくしょう)と呼ばれる錆の一種です。(銅像が青っぽく見えるのはこの緑青です)
以前は『猛毒』と考えられていた時代もあったようですが、厚生労働省の発表によると、さほど毒性はないようですね。
とは言え、バッテリーに付着した緑青は、そのまま放置していいものではありません。
放置したままだと、端子やネジを劣化さバッテリーの通電性にも悪影響を与えてしまいます。
緑青は、ぬるま湯をかけて歯ブラシなどでこすれば簡単に落とせます。(バッテリーの場合、ワイヤーブラシなどの金属製のものはショートの危険があるので使わないように!)
緑青の説明はこの辺にしといて、作業のお話にもどります(^^;)
バッテリーをCCAテスターで点検したところ、バッテリーそのものの性能がかなり劣化しており、充電しても回復が見込めない状態との結果が出ました。
バッテリーが劣化したまま使い続けたため緑青が発生し、その緑青がどんどん成長してしまったと思われます。
会社の車両管理者様に現状を報告したところ、バッテリーを新品に交換してくれとのことでした。
ただ、緑青が進んでいるので、もしかすると端子やコード類も交換になるかもしれないので、その確認もすると即答でOKをいただきました。
そうとなれば早速作業開始!(^^)!
たまに、「じゃあ、また今度ディーラーで替えさせるわ」といった回答をいただくこともあり、すごく不完全燃焼な気分で作業を終えことがあります・・・
いやいや、儲けが減って不完全燃焼という訳ではなく、目の前に不具合車両が居るのに、何の対処も出来ず立ち去るのがモヤモヤするんです( ノД`)
まずはバッテリーを降ろそうとマイナス側から一つずつ端子を外して行くと、最後のプラス端子のボルトがガッツリ固着しています・・・
部品交換のOKもいただいているので、ねじ切れることを覚悟で「えいっ!」!!
やはり、簡単にネジは折れました~(⌒∇⌒)
ところが、今度は端子が固着してターミナルから外れない・・・
ブレーカーバーという工具で、バッテリーを破壊しないように端子を外し、なんとかバッテリーが降ろせました・・・
さて、ここからは端子やバッテリー台の清掃です!
端子にぬるま湯をかけ、ワイヤーブラシや細いドライバーで緑青を取ったのですが、腐食がひどく、24V側のプラス端子と中間ケーブルは交換させていただくことにしました。
バッテリーを載せるスチール製の台もかなり錆びついていたので、錆をできるだけ落として錆止め塗料を塗った上でシャーシブラック。
本当は「錆転換スプレー」という特殊な塗料をぬりたかったのですが、あいにく持ってきていなかったので・・・
まぁ、錆止めとシャーシブラックでも十分いけるでしょう!(^^)!
奥の方までかなり広範囲に錆びついていたので、裏側や見えない部分が心配ですが、それを全て処理するには現場では無理なので諦めます。
塗装が乾くまでしばらく時間があります。特に依頼はされてませんでしたが暇なので他の個所を点検していると・・・
マーカー配線が、これまた緑青しているのを発見しちゃいました(^^;)
マーカーランプのスイッチをONにしてみると、右側の前から2個目と3個目が点灯していません。
管理者様へ報告し、現車を確認してもらうと「ついでだから直してもらえる?」と。
もちろん、喜んでお受けいたします!
先ほども書きましたが、売り上げがどうとかではなく、不具合があるのに「あ~、それはやらなくていいよ」と断られると、どうしても後味がわるいんですよねぇ・・・
マーカー不灯の原因は、マーカーの配線不良。ホームセンターでも売られているワンタッチカプラで分岐をさせた箇所が「緑青」し断線状態になっていました。
それと、『不自然』に分岐(延長?)されているカプラ。
隣で作業を見ていた、このトラックのドライバーさんに聞くと、ご自身でマーカーを増設し、その際にコードが短くて届かなかったのでワンタッチカプラと余っていたコードで延長させたらしいのです(^^;)
ご自身で配線をやられるのもいいのですが、電気の配線が原因で車両火災になることも多いんですよね・・・
乗用車なら12V、トラックなら24V。「それくらいならショートしてもヒューズが飛ぶくらいでたいしたことないでしょ」と考えている人が多いでしょうが、電圧の問題ではなく実際に発火するんです! 説明すると長くなるのでやめますが、皆さんも安易な電気配線処理は気を付けてくださいね!(^^;)
クルマを可愛がり、自分好みに手を入れるのはいいことだと思います。でも、それが原因で故障や火災などを起こしたら元も子もないですからね。
結局、ワンタッチカプラで後付けした箇所は全て緑青が発生しており、ギボシ端子へ交換させていただきました。
マーカー配線の処理を終え、バッテリー台の塗装を見てみると、いい感じに乾燥していたので新品バッテリーを載せます(⌒∇⌒)
大型トラックのバッテリーって、重さが30kg以上あるんです。中腰で持ち上げて狭いスペースに置くのって結構しんどいんですよね・・・
こういった作業の時、「老い」を感じます(´;ω;`)ウゥゥ
重いバッテリーを二つ載せ、端子の腐食防止で薄くグリースを塗り、腐食してダメになった端子と中間ケーブルも交換してひとまず一段落しました☆
あとは、ステー等を元通りに付けなおし、各端子などに専用のスプレーを吹き付けて防錆処理、エンジンを始動し異常がないことを確認して作業終了~(*‘∀‘)
ラジオの選局や時計を合わせなければいけませんが、それらはドライバーさんがやってくださるということなのでお言葉に甘えてお任せしました。
バッテリーや端子の緑青って結構あることなんですが、見落とされたりそのまま放置されちゃうんですよね。
しかし、今回のバッテリーまでひどいとなると、かなり以前から始まっていたはずです。
三ヶ月点検や車検時の整備士さんたちは何を見て「合格」としていたんでしょう・・・
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三ツ木 (日曜日, 16 2月 2020 18:09)
お疲れ様です!
私もメカニックやってますが、
緑青噴いてる車よくありますよね。
私もつい先日同じ作業しました^_^
あと、マーカー配線は素人配線おおいですよね( ; ; )フレームの隙間にやり通して、処理が甘くてショートして、夜間出張で呼び出されたりして!!
ドライバーさんの配線や、改造でいつも泣かされてます( ; ; )
GKS (水曜日, 26 2月 2020 09:17)
三ツ木 様
コメントありがとうございます。
バッテリー端子の緑青は仕方ない箇所ではあるのでまだいいのですが、増設した配線はホント困りますね(^^;)
どこに何の配線がどうやって通してあるのか、まずはそれを調べていくことから始めなければなりませんし、どうやっても点検不能な箇所をコードのままむき出しで通してあることも・・・
最近は架装メーカーさんの配線でもそういう事例があります(-_-;)
最悪の場合、車両火災にもなり得ますので「たかが12V、24V」という甘い考えは無くして欲しいもんですね。
お互いこれからも頑張って戦っていきましょう!(^▽^)/