日曜の朝、運送会社さんからのレスキュー依頼です。
「運転手さんが会社の車庫を出発しようとしたらエンジンが止まってしまい、その後、かからなくなった」とのことで、安城市の運送会社さんの車庫へ向かいました。
普段はいつも利用している修理工場にお願いするらしいのですが、今日は日曜日。
その修理工場さんはお休みでした。
また、各社トラックディーラー(メーカー)には緊急の修理受付が24時間あるのですが、出張修理の手配をかけるだけで場所によっては数万円の「出動料」が発生することも!
そこで、ネットで当社を見付けていただき、お電話をくださいました。
ただ、修理内容によっては各メーカー専用の特殊工具が必要な場合もあります。
電話で伺った内容では、おそらく燃料系の異常だろうとだけ推測し、「出向いても、100%直るかどうか保証はありません」とお伝えしましたが、それでもとりあえず来てくれとおっしゃったので、すぐにお客様の会社へ急行しました。
到着し点検したところ、燃料系の異常とみられ、エンジンに燃料(軽油)が送られていませんでした。
運転手さんと会社の職員の方それぞれに、このトラックの点検整備歴や修理履歴を聞いたのですが、全て修理工場に任せているらしく不明とのこと・・・
冬の朝にトラックのエンジン不動で真っ先に思い当たるのが、燃料の凍結です。
気温が氷点下になるとトラックの燃料である「軽油」は凍る可能性がありますが、今回の発生場所は愛知県の安城市ですし、今朝はそこまで冷え込んではいなかったので凍結ではないと判断。
なので、とりあえずトラブルの原因が多い『燃料フィルター』の点検から行いました。
燃料タンクに溜まった「水」が送られてしまいエンジン不調となったり、フィルターが目詰まりして燃料が送られないこともあるのでまずは点検します。
今回の修理で撮った画像ではありませんが、以前に修理した、今回と同車種の日野自動車の大型トラック、「E13C」と言うエンジンです。
大型トラックのエンジンを見たことのない方は、実物を見たら、その大きさにきっと「おぉ~(゚д゚)!」とおっしゃいます、きっと!
画像の、手前左に2つ並んでいる銀色の丸いものは「エンジンオイルフィルター」です。
トラックは、フィルターが2個あるんです!
その右隣の黒いものは「クローズドベンチレーターエレメント」。
「PCVエレメント」や「ブローバイガスフィルター」と言った方がピンと来る方もいらっしゃるかもしれませんね!
で、右の方にある銀色の円筒形のものが今回の主役の「燃料フィルター」です。
この中に「燃料フィルター」が入ってます。
(画像では大きさがわかりづらいでしょうが、この筒状のものだけで高さが20センチくらいあります)
上部の『フタ』を外すとフィルターが現れますが、いきなり外すと中に入っている軽油がこぼれてくるので、まずは中の軽油を抜きます。
左下にドレンコックがあるので、その下に容器を置いてコックのボルトを開き、上部に付いているエア抜きボルトを緩めると燃料が抜けます。
ですが、今回はほとんど出てきません。・・・なぜ!?
理由は、後ほど判明しました(´;ω;`)ウゥゥ
この画像も今回のものではありませんが、左が約9万キロ走行した燃料フィルター。
左は新品のフィルターです。
9万キロ走ると、こんなに汚れるんです!
先ほど書いた、ドレンから燃料が出て来なかった理由がわかりました。
ドレンの穴からエアーを送り込んだりして少しずつ抜き、フタを外して中を確認すると・・・
今回のトラックの燃料フィルターは、上の画像のものよりもっと汚れており、フィルターが入っているカップの底には大量のヘドロのようなものが溜まっていました・・・
そのヘドロのおかげで、下のドレンを開けても中の燃料が出て来なかったんですね!
フィルターの汚れを見ると、交換時期を超えた走行過多であるか、粗悪軽油を給油していたか。
また、お客様の利用している修理工場さんを悪く言うつもりではありませんが、ヘドロ状のものが体積していたことを考えると、フィルター交換の作業時にカップの中などを清掃したりせず、ただフィルター交換だけをしていたとしか思えません。
ご依頼のお電話の際に車種を伺っていましたので、新品フィルターを持って来ていて正解でした。
お客様に状況を確認していただき、カップ内とフタなどの清掃、フィルター交換を済ませて、エンジン始動を確認し作業終了となりました。
同業者の悪口を言いたくありませんが、修理業者さんの中には、自社のキャパ以上の仕事(作業台数)をかかえてしまい、それをこなすために一部で手抜きな作業をしているところもあります。
今回のように、中が見えない部分の雑な仕事は、ユーザーさんには確認のしようがありません。
修理業者を1社だけにせず複数の業者を使い、病院の「セカンドオピニオン」のようにチェックしてもらってはいかがでしょうか?
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